エースの勝ち方

インフルエンザによる高熱は無くなりましたが、鼻が詰まるのと咳が少々。今日1日休めば明日からは社会復帰は可能でしょう。

午後には東京国際マラソンを見ていました。市ヶ谷からの上りがきつい、と言われる東京のコースは最近は有力選手が参加を回避する傾向にありますが、敢えてそのきついコースを選んで強さを見せつけたい、という3000/5000/10000m/マラソン日本記録保持者の高岡寿成選手がダントツの優勝候補ナンバー1。彼は非常に人望も厚く、他のチームのランナーからも尊敬を集める日本男子長距離界のエースと言っても過言ではないでしょう。
でも彼はマラソンでの優勝経験がありません。日本記録は2002年のシカゴマラソンで35Km過ぎまで単独で集団から一旦は抜けて独走しかけるものの、最後に力尽きて3位になった時のもの。その後も記録こそ2回連続で2時間8分を切っていますけど、全て3位。昨年のアテネオリンピックも補欠で実際には走っていません。
ですから今回の高岡選手は難しいと言われる東京で記録と共に強さを見せつけて勝ちたい、という気持ちが非常に強かったようです。
今日のレースではハイペースのラビット(ペースメーカー)をつけて前半は3分/Kmで行く予定だったようですが、流石に今日の寒さではラビットのほうがペースを維持できなくなってずるずるとペースダウン。折返し点を過ぎてから一気に高岡選手が前に出てそのまま独走。その後も多少のラップの上げ下げはあるものの、基本的に当初の予定通りの3分/Kmを維持し、市ヶ谷の坂も大きなストライドが縮む事がありません。最後の2.195Kmも6分40秒でクリアして難コースを2時間7分台の好記録で制しました。2位との差が約3分あった事、前半に同じグループで走った人が全て8分以上遅れた事を考えると彼の強さが際立ちます。

先にも書いたように高岡選手は自他共に認める優勝候補ナンバー1。なにより凄かったのは彼が狙っていたのは優勝だけで無く、条件が良ければ日本記録の更新さえ視野に入れて難コースの東京に参加して好記録で優勝を遂げてしまう、という強さ。彼の目的だった"強さの誇示"のアピールには十分なものでしょう。これまでの彼の走りは前半に行けるだけ行って後半にばてていましたが、今日は後半にも力強さがありました。
その意味では知る人ぞ知るエースが名実ともに大エースになったという事でしょう。ここまで強いのはソウルオリンピックの代表選考会の福岡国際マラソンでみぞれの中、前半から世界記録をも上回るペースで突っ走り、結局当時の日本歴代2位のタイムで優勝した中山竹通選手以来じゃないでしょうか。
日本長距離界にとって待望のエース登場です。
こういう人材が自転車界でも居ればもっと面白くなるんだけどなあ。

ちなみにおいらが時々参考にしている陸上専門のサイト*1です。管理人の寺田さんはその世界ではかなり有名なジャーナリストです。特に選手とのやり取りやインタビュー時の雰囲気の記事、そして時折日記に書かれる辛らつな意見を見ると陸上の奥深さが見えて面白いです。陸上をやらないおいらが陸マガ買いたくなっちゃうもの。(まだ買ってないけど)