Morrissey/You are the Quary

いきなり"America is not the World"ときた。なんでも解説氏によると、前作(97年)以降のほとんどをロサンゼルスで過ごしている、ということで、より深いところで感じる疑念のようなものが表れているようです。"America"から直接生活費を得ている状況が続くおいらにも思い当たる節が続々と。まあ、Morrisseyだからこそ、そのまま表現できる、という側面もありますけど。
で次は"Irish Blood, English Heart"。一番The Smith時代の雰囲気が現れているけど、やはり第1弾シングルらしいです。
本人が語っているように全体的に"Your Arsensal"の官能性と"Vauxhall and I"の内向性が程よく混ざり合っています。
しかし、なんか違うんだよなあ。Morrisseyって心で金切り声を上げながらキュウキュウしてくる切迫感が今までの売りだったんじゃない?アクセルを悠々と踏みながら昔よりも排気量が大きくなった車に乗っている感じです。
ジャケットの写真も昔はいつも上半身裸でピンボケ気味の写真だったのが、スーツに整髪されたダンディな雰囲気を漂わせながら古いマシンガン(?)を持っているオヤジに変身していますし。
昔、某所でMorrisseyのことを「女々しい男らしさを持つ」と書いた事があるんですけど (誰も知らないだろうな)、"女々しさ"が無くなってしまった気がします。

でも、こういう変化、嫌いじゃないんですよ。過去に十分成功してきたんですもの、そりゃ生活変るのが当たり前。生活変れば音楽も変るはず。聴いている方も初めて聴いた時とは月日が過ぎていて生活臭がべっとりついてしまっている。その意味で同じようにMorrisseyにも自分にも時間が過ぎている事を認識させ、それを受け入れる喜びがあるんじゃないだろうか。
これを"The Smith"の伝説的ボーカリストの復活アルバム、として聴いてしまうと期待外れでしょうけどね。