丸岡の事故から
もう既に実業団のサイトや報道で報じられている通り、先日の丸岡レースのBR-3で残念ながら死亡事故が発生してしまいました。亡くなった方のご冥福をお祈りします。
しかし、今までいくつかのBR-3レースに参加して、重大事故が発生する懸念を個人的に感じていたのも事実です。
私が参加したBR-3レースは東日本RR、栂池ヒルクラ、富士スピードウェイそして石川の4大会。スタート直後の10%坂で集団が崩壊する栂池を除いた3レースのいずれも派手な落車が発生し、富士と石川のレースでは救急車がレース中に入り込む事態になっています。
確かに自転車レースは速度が速いし密集した集団での走行になるので、多少は危険が伴うスポーツではありますが、ここまで救急車が出動する確率が高いのは異常と思われます。1つのカテゴリー内で参加人数が多いのも事故が多い一因かもしれませんが、多少は参加人数がBR-3よりも少ないとはいえ、BR-2では私が参加した大会で救急車が出動するような落車が発生していない&完走者の割合がBR-3よりも高いことから、BR-3の事故発生率が比較的高く、怪我の程度も酷いと言えるんじゃないでしょうか。(BR-1はレースの次元がBR-2/3とは違うので比較対象にはならないと思っています)
そして先月に午前午後のダブルヘッダーでレースに参加した時にも午前の市民レース先頭集団よりも午後のBR-3集団のほうが平均速度は遅いのに走行時に危険を感じました。午後にはBR-1の方はレースが設定されていなかったので、午前の市民レースにそれらの人が流れてきた為なのかもしれません。
なぜ富士スピードウェイのような路面がきれいで幅広の道路でコースアウトするの?なぜまっすぐ走る人が密集した集団内で少し他人に身体が軽く触れただけで「ぶつかるなよ!」と怒鳴られるの?
練習で僅か1時間でも密集した集団走行の練習をやればローテーションのやり方、走行ラインの改善、危機察知及び回避能力を高めることが出来るし、練習せずとも事実をレース前に口頭で伝えるだけでも違うのに。
現在の自転車の実業団レースは実業を持つ人が実業団に所属するチームに加入し、年間登録料を支払えば誰でも参加資格を得る事が出来ます。要するに自転車とチームジャージを購入し、登録料を払う金銭的余裕があれば走行スキルを問わずに誰でも実業団選手になれるということです。
新規に実業団選手になる、あるいは数年のブランクから復活した選手が最初に走るのがBR-3と言うカテゴリー。その意味でも玉石混淆状態であり、レース経験、走行スキル、体力の面で個人間で大きな差があるのが事実です。経験が少ないけど体力はある人が集団に混ざると走行ラインがずれる/無駄な動きで惑わせる、で周りは大変なのに本人はドラフィティング効果もあって遅れずに走れてしまうものです。
私が週末の朝錬に参加しているスキップの登録メンバーは10年以上のレース経験を持つ人が多く、走りの基礎がしっかりしているし、何か問題がある走りをした場合はお互いがそれを指摘できる雰囲気とスキルを持っているので、走行スキルを磨くのは十分に可能です。しかし強豪と呼ばれている中でも体力面の強化を追い求める傾向が強いところも特に新興チームにはあるようです。
そして現在の日本のレースではヒルクラレースが多いことも集団走行スキルが磨かれない原因の一つとも言えます。実業団レースでさえ単純な体力勝負になるヒルクラの比率が高い (4/5月の3週連続ヒルクラなんて・・・)のは問題じゃないでしょうか。ヒルクラの少人数の集団走行で走行ラインがふらついても問題にならない為、高い基礎体力だけでも上位入賞の可能性が出て来ます。それも体力面の強化を追い求めてしまう動きにつながるようにも思われます。
米国のペンシルバニア州でロードレースに参加しているSprocketsさんによると同じ州内だけで複数の主催団体があってロードレース、クリテ、TTを含めて合計すると年間90レースも開催されているみたいです。日本に置き換えると面積的には関東地方の中で複数の実業団やJCRC的な組織が年間90レース行うイメージでしょうか。これだけのレース数があると、日本で言うチーム錬感覚でレースに参加できるから、毎週のようにレースに参加できてしかもスキルも向上する事でしょう。
日本で公道のロードレースを実施するには警察の道路使用許可取得に始まり関係住民への根回し、行政への陳情などの雑多な作業が多いのは容易に想像つくし、そもそも競技人口の増加に主催者側の対応も追いついていないようにも見えます。その公道を利用したステージレース開催という夢を追うにはあまりにも多い障壁から今年のツール・ド・信州も今年の開催を見送ったわけだし。
丸岡の場合は昨年も10名ほどの落車がNHKで報道された"事件"があったので、今年の事故で来年以降はレース開催は危ないかもしれません。日本でも数少ない公道レースの1つでもある丸岡ロードの灯を消さないように関係者は努力すると思いますが、どうなるか。
レース参加前に講習会の受講を義務づける、なんて案もあるのかもしれないけど、今度は講習会を主催、参加する人の時間や金銭的な折り合いをつけるのが難しそうです。
実業団に参加している人はレース指向がより強い人がほとんど。だからこそ他の主催者によるレースよりも活発な展開があり、駆け引きも味わえます。その意味では参加していて個人的には楽しいのですが、危険を感じることも多かったのが残念。
この後のレースも都合がつく限り参加していきたいのですが、やはり事故を起こしてしまっては仕事や生活に被害甚大なので、何とか良い方向に向かうようにしたいものです。
話の落ちが思いつかないのですが、こんなことをBR-3カテゴリーに感じています。